箱入り結婚のススメ
「秀明さん、麻子に借りてきたんですけど……」
秋口になるとウーマンライフより、結婚情報誌を麻子とふたりで回し読みしていた。
だけど秀明さんは、ウーマンライフだと思ったようで「なんの特集?」なんてつぶやいている。
「いえ、そうじゃなくて、式場のパンフレットなんです」
「ん?」
私の差し出したパンフレットを受け取った彼は、部屋の隅に置かれている大きな白いソファに座った。
「コーヒー、飲みますか?」
「うん。淹れてくれる?」
秀明さんは、パンフレットをめくり始めると、すぐに没頭しはじめた。
「舞が気に入ったところでいいよ」と言っている彼だけど、一応気になるらしい。
「ここ、いい雰囲気だな。周りに緑もいっぱいあるようだし」
「そうでしょう? なんだかビビッときちゃって」