箱入り結婚のススメ

「あぁ、素敵。写真よりずっときれい!」


思わず声を上げると、ハンドルを握る秀明さんもうなずく。


駐車場に車を停めて教会に向かうと、丁度式が行われていて、新郎新婦がフラワーシャワーの中、階段を下りてきた。

その様子があまりに美しくて言葉を失くしていると、秀明さんは私の手を取って少し近づく。


「どうしよう。なんだか感動して泣きそうです」

「舞はすぐに感化されるんだから。そういうところがいいんだけどな」


秀明さんは私の手をギュッと握ったまま、ふたりが去ってしまうまで見送っていた。

すると、黒いスーツを着た髪の長い女の人が話しかけてくる。


「あの、披露宴にご出席の方ですか?」

「いえ、この教会のパンフレットを拝見して、見てみたくて」

「それでは、ご結婚が決まられたんですね。おめでとうございます」


突然の訪問なのに、丁寧に祝福されて恐縮する。

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