箱入り結婚のススメ
「私、プランナーの安永と申します。
もしお時間がおありでしたら、中をご覧になりますか?」
「いいんですか?」
式をしていたから、中までは見られないと思っていた私は、心が躍る。
「はい。終わったばかりですので、掃除ができておりませんが、それでもよろしければ。
私も少しなら時間がありますので、ご案内いたします」
安永さんの言葉に甘えて、教会に足を踏み入れた。
大きなドアを入った瞬間、正面に見えるステンドグラスに目を奪われる。
「うわー、素敵!」
「ありがとうございます。この教会は決して大きくはありませんが、細部まで手を抜かずに造られておりますので、どこをご覧になってもご満足いただけるのではないかと思います。
それに、あのパイプオルガンが生演奏なのが自慢なんです」
安永さんは、自身がこの教会のことを好きなのだろう。
そんな気がした。