箱入り結婚のススメ

「お母様、これ、どうしたの?」

「はい」


母が私に小さなメッセージカードを渡してくれた。
それを開けると……。


【舞へ

一年目の担任、お疲れ様。
舞の頑張りは、俺にも勇気をくれた。
俺の自慢の彼女、いや奥さんだ】


「秀明さん……」


秀明さんは、結婚式の前の最後の海外出張の真っ最中だ。
きっと、今日に合わせて用意しておいてくれたに違いない。

昨日の電話では、そんなこと一言だって言っていなかったのに。


「舞」

「はい」

「あなたの連れてきた人は、本当に素敵な人ね」


今日はよく涙の出る日だ。
母の言葉に小さく頷きながら、幸せを噛みしめた。

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