箱入り結婚のススメ

それからすぐに出てきた前菜は、とても美しく盛り付けられていた。
そして、そこからフルコースが始まった。


「秀明さん、予約してくれたんですか?」

「あぁ、舞の誕生日は日本にいなかったし……」

「それでわざわざ? うれしい」


私の二月の誕生日は、彼は遠くイギリスにいた。

だけど、時差にも関わらずおめでとうの電話をくれたし、帰ってきてすぐにかわいらしい一粒ダイヤのネックレスもサプライズでくれた。

もちろん、今日もつけている。


メインの肉料理を食べ終わると、彼は私をじっと見つめる。


「秀明さん、どうか、しました?」

「舞……あの時気持ちが高ぶって思わず言ってしまったんだけど……」


あの時?


「改めて……結婚、してほしい。ずっと隣にいてほしい」


式が来週に迫っているのに、プロポーズのやり直し?

思わず頬が緩んでしまったけど、勝手に涙がこぼれていく。

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