箱入り結婚のススメ

「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」


震える声で返事をすると、彼はにっこり笑った。


「実は……舞が忘れていったウーマンライフを読んで……理想のプロポーズとやらを」

「えっ!」


照れくさそうにしている秀明さんに噴き出してしまう。

私がウーマンライフを卒業したのに、まさか彼が読んでいるなんて。


「一生に一度だから。
それに……この先家族ができても、舞はずっとずっと俺の恋する人なんだ」


結婚してしまうと、恋する気持ちが薄れて、生活を共にするだけのバートナーになってしまうとも聞く。

だけど、秀明さんなら、ずっとドキドキできる恋人でいられる気がする。


それから、ろうそくの灯った大きなケーキが出てきて、「お誕生日、ご結婚、おめでとうございます」と店員さんから拍手までもらった。


秀明さんの演出してくれたこの日は、きっと忘れないだろう。
私たちの大切な記念日となった。

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