箱入り結婚のススメ
「ずっと子供だと思ってたのに、結婚なんて信じられないけど……あなたなら大丈夫。
だって自慢の娘なんですもの」
母はそう言うと、空になったコーヒーカップを持ってキッチンに行ってしまった。
母の頬に光るものを見つけた私は、椅子に座ったまま静かに涙を流した。
父と母が私を縛るのは、愛があるからだと、秀明さんが教えてくれた。
それを理解したうえで、自分の人生を切り開く努力をするべきだとも教えてもらった。
様々な誤解も、こうして言葉にするとすべてのわだかまりが消えていく。
誰かと気持ちを通わせられるということは、本当に素敵なことだ。
秀明さんも結婚式のために上京してきてくれた静岡の両親と、一緒に食事をしているはずだ。
今頃彼もきっと、私と同じように満たされているような気がした。