箱入り結婚のススメ

未来へ


式当日の天気予報はくもりだった。
だけど、ローズパレスに到着したころには、青空が広がっていて、柔らかな太陽の光が降りそそいでいた。


一緒にタクシーに乗って来た父と母と別れて準備に入ると、すぐに担当の安永さんが顔を出してくれる。


「本日はおめでとうございます。全力でお手伝いさせていただきます」


すでにメイクに入っていた私は、「ありがとうございます」としか返すことができなかった。
だけど、なにも知らない私達が今日を迎えられたのは、安永さんのおかげだ。


髪をきれいに巻かれアップにすると、白いバラを散りばめられる。
メイクはいつもより派手に。
アイラインがくっきりと引かれると、緊張しすぎて顔がこわばる。


「これでメイクは終わりです。
とてもお綺麗ですよ。お肌がスベスベだからメイクも映えます。
さ、次は、ドレスを着ましょう」


メイクさん促されて、私はドレスに袖を通した。


< 389 / 450 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop