箱入り結婚のススメ
ふたりで住むことになった新居は、私の実家から車で十五分ほどの距離だ。
秀明さんが私の実家の近くでと一生懸命探してくれた新築のマンション。
3LDKで、ふたりで暮らすには十分な広さだ。
家具や生活用品は、秀明さんが使っていたもので使えそうなものは、そのまま利用した。
「結婚するのだから、新しいものにすればいいのに」と母に言われたけど、やっぱり自分でお給料をいただくようになって、お金を稼ぐことの大変さを実感したから。
父に至っては、「家を建てなさい」なんて無茶なことを言っていたけど、それは今の私達の身の丈に合わないと、未来の目標とすることにした。
「はぁー、やっぱり家は落ち着く」
数日前に引っ越してきたばかりなのに、秀明さんはそんなことを口にする。
ここで、私達の歴史が始まる。