箱入り結婚のススメ

「コーヒー、淹れましょうか?」

「ううん。とりあえずこっちにおいで」


住居を探す時、一番こだわったのは広めのリビング。
そのリビングに置いたソファに座った秀明さんが私を呼ぶ。

言われた通り彼のところまで行くと、突然手を引かれてよろけた私は、彼の膝に座ってしまった。


「いいねぇ、これ」

「わざとですか? もう!」


慌てて降りようとしたけれど、素早く私を捕まえ、後ろから抱きかかえた彼が許してくれない。


「舞」

「……はい」


耳にかかる彼の吐息にドキドキする。


「これからどうぞよろしく」

「はい。こちら、こそ」


彼とこうしてひとつ屋根の下にいられるのがうれしい。

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