箱入り結婚のススメ
「いただきます」
ありふれた料理でも「おいしい、おいしい」と言って食べてもらえると、顔がほころぶ。
「やっぱり舞のカレーは最高だ」
「大げさですよ」
料理教室にだって通ったのに、とても凝った料理をする時間は見当たらない。
今日だって、買い物に行けなくて、ありあわせで作ったのだ。
カレーとサラダを食べてしまうと、秀明さんは自分で皿をシンクに運ぶ。
「あっ、洗いますから」
スポンジに洗剤をつけて皿を洗い始めた秀明さんに驚いた私は、慌てて止める。
「大丈夫。割らない様に気を付けるから」
そうじゃなくて……。
家で父が家事をしているところなんて見たことがない私は、驚いた。
「秀明さんは疲れてるんですから、休んでてください」
「それは舞も同じだろう?
というか、走り回っている舞の方が肉体労働だ」