箱入り結婚のススメ
お風呂のお湯を入れはじめると、再びキッチンに行って秀明さんの隣に立つ。
「それじゃあ、お皿、拭きます」
「了解」
皿洗いという共同作業もたまにはいいかもしれない。
「今日はなにしたの?」
「今日は、給食の配膳の練習を始めたんです。
最初は補助の先生と私でほとんどやるんですけど、すぐに子供達だけでできるようになるんですよ?」
「へぇ、それはすごいな」
秀明さんはいつも私の幼稚園での話に耳を傾けてくれる。
「こぼしたりしないの?」
「もちろんします。
だけどそれは子供達にとっては失敗体験で、もうへこんでいるので、叱ったりしません。
頑張ったのに残念だったねと言うんです」
「なるほど。
確かに悪かったとわかっていることをガミガミ言われたら、辛い経験として残ってしまうかもな」
私は頷いた。