箱入り結婚のススメ

やっぱり母は偉大だった。
実家にいるときも、自分のことはできるだけ自分でと思っていたけど、全然できてなかったとわかった。
どれだけ助けられていたのか、思い知ったのだ。


「いいんですか? 私、いい嫁じゃないですよ」

「なに言ってんだ。すごくいい嫁だよ。
だって、俺の健康を気遣って食事を作ってくれてるだろ? 殿様気分」


秀明さんは私の額にキスをする。


「俺も舞をお姫様気分にしてあげたいな」

「お姫様?」


なんだかよくわからないけど、ちょっとおかしい。


「お風呂でお背中でも流しましょうか」

「えっ……秀明、さん?」


突然私を抱き上げた彼は、“お姫様抱っこ”のままリビングを出ていく。


「一緒に入ろ?」

「なに言ってるんですか! 絶対に無理です」

「どうして? もう隅々まで知ってるぞ?」

< 429 / 450 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop