箱入り結婚のススメ
「あの、私……」
彼が真剣なのだとわかってうれしかったと同時に、困ってしまった。
室賀さんのことは素敵な人だと思う。
それに、彼とまた会うことができてうれしい。
だけど、今の私の気持ちが恋なのかどうなのか、自分でもよくわからない。
「舞さんが恋愛初心者なのはわかってる。
だから、返事はすぐじゃなくてもいい。
でも、僕の気持ちは知っておいてくれる?」
「はい」
私がコクンと頷くと、彼はにっこり笑った。
本当に優しい人だ。
戸惑う私を見て、考える猶予をくれたのだと思う。
「実は井出が若槻さんと付き合い始めたと知って、舞さんの連絡先を聞き出してくれって相当粘ってた」
「そうなんですか?」
信号で停まった室賀さんは、恥ずかしそうに頷いた。