箱入り結婚のススメ
でも、もうすでに、室賀さんのことが気になりすぎている。
連絡先を交換できただけで、舞い上がっているし、彼の告白がうれしくてたまらない。
だけど、彼の言葉にはっきり返事ができないでいるのは、初めての恋愛への不安が大きい。
「ご両親、ケガのことは?」
「まだ連絡してないんです」
「それじゃあ、質問攻めだね」
「はい。ちょっと怖いです」
父と母の顔を思い浮かべると、少し憂鬱だった。
また幼稚園を辞めろと言われそうだ。
「あとでメールしてもいい?」
「はい」
室賀さんは運転席を降りると、わざわざ助手席に回ってきて、ドアを開けてくれた。
「それじゃ、健闘を祈る」
「はいっ」
「あはは。おやすみ」
「おやすみなさい」
私が家の方向に歩き始めてから振り向くと、彼はまだ見送ってくれていて、手を振ってくれた。
私はそれがうれしくて、もうケガのことなんて忘れてしまいそうだった。