箱入り結婚のススメ
麻子の言う通り、私は箱入りだったのかもしれない。
アルバイトだってしたことがないし、私立の幼稚園から附属校を上がってきたから、それなりに勉強もしたけど、受験戦争というものとも無縁だった。
なに不自由なく育ってきて、苦労も知らないのかもしれない。
だから初めて社会に出て、いろんな困難にもぶつかるけれど、自分次第で道が開けることの楽しさも知った。
室賀さんとの出会いもそうだ。
『お嬢様から脱出っていう訳だね』
「お嬢様だなんて」
『だけど、今の舞さんは生き生きしてるね』
「えっ?」
『やりたいことをやるには、それなりの努力が必要なものだよ。
今が頑張り時かもしれないね。応援してる』
室賀さんの言葉は、私に勇気をくれた。