箱入り結婚のススメ
『あのさ、体だけが目的なら、もう奪われてるから』
「えっ……そんな……」
「純情な箱入り娘には酷だけど、そういうものよ」
私だって、体の結び付きっていうものがあること位はわかっている。
だけど、体だけが目的だなんてはっきり聞くと、なんだかショックだ。
『とにかく、お見合いについては、室賀さんに相談しなさい。彼、真っ青になるでしょうね』
麻子が電話越しにクスクス笑う。
「ちょっと、麻子。楽しんでない?」
『うふふ。だって舞の初めての恋人なんだよ。興味深々』
そうは言っても、麻子は本気で私のことを心配してくれているのだと思う。
『デートのときは私の名前使っていいから。うまくやるのよ』
麻子はそんな言葉を残して電話を切った。
室賀さんに相談って……。
私はスマホを見つめながら、そんな勇気もなくて顔をしかめた。