箱入り結婚のススメ
「してないよ。そんなこと室賀さんに関係ないし。
ちょっと、絵本運ぶの手伝ってくれないかな」
「了解」
片手が使えない私は、麻子に新しい絵本運びを手伝ってもらった。
「ありがと。助かった」
私の担当クラスのさくら組は、二階にある。
教室に入って、本棚に絵本を入れると、麻子は職員室に戻ろうとする私を止めた。
「ちょっと待って。なんで室賀さんに関係ないのよ」
「なんでって、私の問題だし」
「やっぱりわかってないな、舞は。舞の問題は室賀さんの問題なの」
私の問題が室賀さんの問題って?
「舞は、迷惑かけたらなんて心配してるんだろうけど、好きな人の迷惑はうれしいんだから。わかった?」
麻子はニヤリとすると、「そろそろバス来るね」なんてマイペースに去って行った。
私の迷惑がうれしい?
恋愛の達人の麻子の言葉がよく理解できない。
ウーマンライフにだって、そんなことは書いてなかったし。