箱入り結婚のススメ
とにかく、働かなきゃ。
父と母に『私の人生です』なんて大きなことを言ったのだから。
バスの到着する裏口で園児を迎え入れると、担当クラスの子が、私のギプスをもの珍しそうに見ていく。
「速水先生、痛い?」
「ううん。もう大丈夫だよ」
まるで自分のことのように顔をしかめてくれる子供たちが、かわいくて仕方がない。
やっぱり私は、ここにいたい。
「先生……わぁぁーん」
私の姿を見て、すぐに泣き出してしまったのは、私の上に落ちてきた太知君だった。
「太知君、大丈夫だから、泣かないで」
こんなに小さいのに、きっと責任を感じているのだ。
「でも、先生が……」
顔をくしゃくしゃにして泣いている彼は、隣にいた麻子に抱きついた。
やっぱり担任は偉大だ。