箱入り結婚のススメ
「太知君。速水先生ね、太知君がケガをしなくてとってもよかったって言ってたんだよ」
「えっ?」
「そうだよ。先生のケガはすぐに治るからね。太知君は心配いらない。
先生たちは皆のことを守るのがお仕事なんだよ。
今度あの遊具で遊ぶときは、手を離さないようにしようね」
太知君はわかったようなそうでないような複雑な顔をして、コクンと頷いてみせた。
「若槻先生」
「わかってる。私に任せて」
太知君の心のケアは、麻子に任せた方がよさそうだ。
誰だってわざとでなくても失敗することはある。
そして、失敗してしまった自分を悔んだり、否定したり……。
だけど、そういう経験をして強くなるのだ。
不自由な片手のフォローは正担任の松永先生と、小栗先生がしてくれた。
とても恵まれた環境だと思う。
ますます園が好きになった。