箱入り結婚のススメ
「私も、ご一緒できてうれしいです」
一言一言、恥ずかしくて勇気がいる。
だけど、室賀さんが笑ってくれるとうれしいのだ。
「でも、大丈夫だったの? 僕と食事って……」
「実は、麻子と食事に行くということに。すみません」
今の状況では仕方がなかったとしても、なんだか彼にとても失礼な気がした。
嘘をつかないと会えないなんて。
「本当にすみません。私、室賀さんに失礼ですよね」
「いや。そんなことは気にしなくていいよ。でも……」
室賀さんはお水を一口、口にしてから再び口を開いた。
「僕は真剣なんだ。舞さんと本気で付き合いたいと思ってる。
舞さんが恋愛に慣れていないみたいだし、焦ったって上手くいかないって、本当は待とうと思った。
でもやっぱり、こうして舞さんに会って話したい。
一緒に映画にも行きたいし、デートもしたい。だから……返事が欲しい」
室賀さんの私を見つめる目が真剣すぎて、目をそらすことができない。