初デート~12年目の恋物語 番外編(1)~
カナは、なかなか、わたしの頭を離してくれない。
そして、そのまま、頭から背中に手を下ろし、わたしをぎゅっと抱きしめた。
そのまま、大丈夫、とでも言うように、背中をトントンと何度も叩く。
え……っと。
わたし、迷子になって泣いてる子どもじゃ、ないんだけどな。
「……あの、カナ」
「ん? あ、苦しかった? ゴメン」
何も言ってないのに、カナは我に返って、ようやくわたしを放してくれた。
「あ、ハルん家には、見つけたって連絡しといた。
けど、合流したって連絡はまだだから、しとくか」
わたしの、困ったような顔を見て、カナはクスッと笑った。
それから、電話をポケットから取り出した。
本当は自分でしなきゃいけないんだろうけど、合わせる顔がないというか、何というか……。
見つけたって連絡してくれたなら、きっと、具合が悪そうだったっていうのも、報告されちゃったんだろうし……。
「あ、じいちゃん? ハルと合流したから。おばさんとか沙代さんとかにも伝えて」
え? おじいちゃん?
……ああ、ママはお仕事だし。パパは出張中だから。
「ん? 代わる? ちょっと待って」
差し出された携帯を受け取ると、少しだけ躊躇ってから、電話に出た。