ファインダー越しの恋
ある日、商業ポスターをコンクールに出すことになった。

何枚か描いて、俺は福山のおっちゃんに見せに行った。


「おっちゃん!
ちょっとこれ見てくれんか」

「おう、勝次郎じゃないか。
元気にやっとるんか?」

「見ての通りじゃ。
それより、これどう思う。
コンクールに出すポスターなんじゃ」

「お前は、絵がうまいの~」


おっちゃんがポスターを並べていると、

奥からはんなりとした女学生が出てきた。


もしかして!


俺の心は一気に高鳴る。
シズさんに会うのは、久しぶりだった。

やっぱり綺麗だな~。

俺は話しかけることもできずに、シズさんの姿を盗み見る。

まっすぐシズさんを見ることさえ気が引けた。


「これは綺麗な色ね。
でも私はこちらが好きだわ」


1枚のポスターをとりあげて眺めているシズさんがいた。
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