ファインダー越しの恋
8月の12日頃だったろうか。

同期の者と一緒に自分たちで作ったラジオの操作をしていた。


「・・・むじょう・・・・うふく・・・
・・ほんのはいせん・・・かくじつ・・・」


「ん?なんだ?」

「シンガポールからみたいだぞ」

「電波、もっと合わせろ!」


「日本軍は、無条件降伏しました」


「・・・・・!!」


俺たちは、そのラジオから繰り返し流れる「無条件降伏」の言葉を、ただ呆然と聞いていた。
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