ファインダー越しの恋
カーカーは、京都の親方から日本刺繍の下請けをしていた。

物心ついたころから、家に「父親」はおらず、カーカーが女手1つで俺たちを育ててくれていた。


俺は父親の顔を見たことがない。

ただ、京都にいた頃の親方が父親だということだけは、カーカーから聞いていた。


親方は、吉田万次郎といって、日本刺繍組合の組合長までした男らしい。

でも、いくらすごい仕事をしても、女1人幸せにできない奴は俺にとってはダメな男だ。
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