キスしたくなる唇
 なによりもこの機会に恵まれたことを神様に感謝したいくらいだ。

 近々、千秋さんに電話をして食事に誘いたいと思っていた。

「着いたよ」

 辺りをキョロキョロしながら歩く千秋さんは立ち止まり、マンションの外観を見上げる。

「いいところに住んでいるね。さすが売れっ子モデル」

「マネージャーに探してもらったんだ。以前のところはとてもじゃないけど女の子を呼んだらひかれそうなくらいのぼろ屋だったよ」

 玄関に入り、オートロック式のパネルに鍵を差し込むと、ガラスのドアが開く。

 エレベーターホールで、エレベーターを待つ間、千秋さんが買ってきてくれたハンバーガーとポテトの匂いが漂ってくる。

 キィ……

「どうぞ、入って」

「……お邪魔します」

 千秋さんは玄関を入ると、ある物を見ている。

 視線はベッドだ。



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