キスしたくなる唇
「思ったより赤いね」

 千秋さんの唇がいきいきとした表情を作る。

 艶やかな唇。
 
 鏡を見ながら、千秋さんはグロスをなじませるように唇を動かす。

「とてもきれいな色。出来る女みたいでしょ?」

 俺を見て、艶めく唇でにっこり笑う。

「それより、キスしたくなる唇だね」

「えっ……?」

 驚く顔がまた可愛い。

「キスしたくなる唇って言ったんだよ」

「じょ、冗談言わないで」

「本当にそう思っているんだ。キスしていい?」

 モデルで磨いた表情で、千秋さんを見つめた。

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