キスしたくなる唇
 小さく深呼吸すると、ゆっくり目を閉じて誘うように顔を少し近づけた。

 怜央の唇がふんわりと下りてくる。

 あ……こんなにやさしいキスを怜央はするんだ。

 そう思ったのもつかの間、ふんわりと怜央の唇が触れたのち、啄むように何度も重ねてくる。

「んっ……」

 気持ち良くてわたしの口から甘い声が。

「千秋さん、好きだよ」

 ん? 今、なんて言ったの?

 怜央の唇に翻弄されているわたしは物事を良いように聞き間違えたの?

「ん……怜央……今……」

 わたしの口内を探っていた怜央は動きを止める。

「前から好きだったよ。俺の恋人になってくれる?」

「本気? ハトコだし、5才も上だよ?」

「そんなのわかり過ぎるほどわかっているよ。いつも千秋さんを想っていた。今までは年下だからと、縛られて行動も出来なかったけれど、稼げるようになったし、もう我慢できなくなったんだ」

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