ねぇ、おねがい
1章

いつもの朝

「ーきて。起きて〜!」

耳もとで自分の声が聞こえる。

いや、正確にいうと自分そっくりの
声に。



「ぁ、起きた?」

ゆっくり目を開けると、視界いっぱいに広がる自分そっくりの顔。

鏡を見ているのかと錯覚してしまう。



「美奈、ぼーっとしてたら遅刻しちゃうよ!!」

まゆを八の字に垂らしながら、髪をブラシでとかしているその子は、あたしの姉。

ただの姉じゃなくて、双子の姉。



彼女が斎藤沙奈で、あたしが斎藤美奈。

6月12日生まれの17歳。

現在高校2年生。
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