ねぇ、おねがい
「おい、これ着とけ」
キシキシした髪をとかしていると、ゆづに体操服を差し出された。
明美のせいで制服がびしょびしょだし、嫌なにおいも付いちゃってるし、正直今すぐ着替えたい。
だけど、彼氏でもない人の体操服なんか借りれない。
付き合えないくせに、こういう時だけ利用するのは間違ってる。
そう思って
「大丈夫。見た目ほど濡れてないし、このにおい嫌いじゃないから」
というと、納得してなさそうな顔で、体操服を差し出した腕を引っ込められた。