触れてほしくて
「今日の天気予報、雨降るって言ってたっけ?」
少なくとも、私は聞いていない。
いつも見ている朝のニュース番組。
それに出ている誠実そうな気象予報士のお兄さんの顔を思い出しながら不平をこぼすと、彼が呑気に笑った。
「さぁ?俺、天気予報とか見ないからわかんないっす」
彼はいつも、他の同世代の男性社員よりセンスがよく清潔そうな格好をしている。
だから私は、彼の発言に目を丸くした。
「嘘。じゃぁ、毎日服装とかどうするの?暑いか寒いかで、着ていくものも変わるでしょ?」
「そんなの、勘です」
首をぐっとあげて私よりかなり背の高い彼を見上げると、彼が歯を覗かせて笑った。
「何それ」
「それより先輩……」
呆れたように苦笑すると、彼が私をじっと見下ろしてきた。