―あの天を見上げて―

 私が遼と最初に出会ったのは、中学校の廊下だった。


 遼は、下を向き一生懸命に何かを探していた。


 「う~ん?どこかな?」


 「なんか落としたの?」


 私は、それがほおって置けなくて、声をかけた。


 「あ、コンタクト落としちゃって。すみません、通行の邪魔でしたよね?」


 なんというか、べたと言うか・・。


 「コンタクトかぁ、私もさがそっか?二人の方が早いよ?」


 そう言って、コンタクトを探す私に、遼は、”ありがとう”と小さく呟いた。


 数時間後、コンタクトは見つかった。


 「ごめんね?なんか手伝わせちゃって・・・。名前。なんていうの?」


 突然話を振られ、ちょっとびっくりしながら私は答えた。


 「あ、蔚櫛 李亜っていうの。そっちは?」


 「あ、あたしはね?松木 遼。よろしくね?」


 これが、遼との出会い。


 それから、毎日と言っていいほど、私は遼と居るようになった。


 「えっとね、それで、柚がぁ・・・。」


 「アハハっ!!!まじ?うける~。」


 どうでもいいような話で盛り上がり、


 帰り道に、いろんな店を回ったり。


 いろんなことをしたよね?


 先生の、桂を取ってみて怒られたり。


 本当に、くだらない事で笑いあった。


 でも、その日はもう、近かったんだよね?


 2000年8月9日。


 私たちは、いつもと同じように、町で遊んでいた。
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