―あの天を見上げて―

 それが起こったのは、横断歩道を渡っていた時。


 さきに、反対側についていた私は、ふと後ろを振り返った。


 すると、そこには、自分の友人が突然突っ込んできた車に、

 
 はねられて、真っ赤になって横たわっている姿。


 「は、るか?」


 わたしは、その時何が起きたのか分からなかった。


 数分後、救急車が到着していた頃にはもう、遼の意識はここにはなかった。


 死因は、即死。運転手が、余所見運転をしていたことが原因だった。


 遼は、最後。私に何か言っていた。


 「     」


 私には、”ごめんね”ってきこえたよ?


 何で謝るの?


 遼は何も悪くないんだよ?


 神様は、意地悪だ。


 何の罪もない、遼をそちらの世界に連れて行くなんて。


 ひどすぎるよ。


 私はその後、何もかもが信用できなくなった。


 学校に行っても、人形のように感情を押し殺した。


 友達も、そんなに居なかった。


 そんな時、立ち直れない私に勇気をくれたのが、五木 柚―いつき ゆう―


 と、若野 彩茄―わかの さやな―だったよね?


 そんな二人のおかげか、私も、徐々に笑うようになっていった。


 遼を忘れたなんてことは絶対にない。


 今でも、私の心に生きている。


 「つらかったね。」


 先輩はそういった。

  
 「どうなんでしょう。あの時、もし私が立ち直れなかったら、


  遼はどんな顔をしていたんでしょう?どう思っていたんでしょう?」


 
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