指切り
「楓香ちゃん」
私は怯える楓香ちゃんをそっと抱き締めた。楓香ちゃんはパニックを起こしたように何度も私を突き放そうとするが、私は決して離さず楓香ちゃんを抱き締め続けた。
「大丈夫だよ、楓香ちゃん。何も怖い事なんてないから、安心して」
優しくゆっくりと言葉を吐き出す。背中を擦ってあげながら「大丈夫、大丈夫」と繰り返す。暫くそうしてると楓香ちゃんは落ち着いてきて、それと同時に空の雷鳴も鳴り止んだ。
< 32 / 111 >

この作品をシェア

pagetop