闇に響く籠の歌
柏木の声に圭介はどう反応していいのかわからない。よもや、高3の男子学生を相手に『いたいけ』といってくる相手がいるとは思わなかったのだ。
そして、それは水瀬も同じ思いなのだろう。思わずカウンターに突っ伏した彼の肩がフルフルと震えている。絶対にこれは笑っている。そう思った圭介の耳に笑い混じりの水瀬の声が飛び込んできていた。
「柏木さん、それって受けを狙ってるんですか? 遥ちゃんならまだしも、圭介君みたいな男の子にそれってないでしょう」
「そうですか? でも、水瀬さんが答えないなら、僕が代わりに答えてもいいかな?」
柏木の言葉に、水瀬はちょっと嫌そうな顔をする。だが、黙っていれば彼が言いだすことにも気がついたのだろう。仕方がない、というような表情を浮かべて、圭介の問いかけに応えていた。
「どうして、圭介君が知ってるのか分からないけど、本当だよ」
水瀬の返事に圭介は大きくため息をつくだけ。その彼の姿に興味を持ったのだろう。今度は川本が問いかけてきた。
「それはそうと、どうしてそんなことに首を突っ込むんだ? 学生は勉強するのが仕事だろう」
「そうなんですけどね。でも、今朝のニュースの人、うちの学校の先生みたいなんですよ。ネットで見ただけなんで確証はないんですけど、小太りの中年。ついでにハゲ親父。僕たちの中では思いっきり人気のない先生の外見にピッタリなんです」
「おいおい、仮にも教師に対してその言い草はないだろう。それに、だからといってその人だとは限らないだろう」
圭介の言葉に思いっきり毒が含まれているのを感じたのだろう。川本が焦ったような声を出している。それに対して、圭介は軽く肩をすくめると、思っていることを言葉にしていた。
「川本さんでしたっけ? 言いたいことは分かるんです。でも、その先生って授業を休むなんてこと考えていないような熱血で。なのに、理由もなくその人の授業が急になくなる。担任が焦りまくって教室にくる。ネットで画像が流れてる。このあたりからその先生だって思ったんですけど、間違いですか? 伊藤っていう先生なんですけどね」
「熱血教師か。そんな言葉きくのって久しぶりだな。おまけに生徒からこんなに心配されるなんて、よっぽどいい先生なんだろうね」
そして、それは水瀬も同じ思いなのだろう。思わずカウンターに突っ伏した彼の肩がフルフルと震えている。絶対にこれは笑っている。そう思った圭介の耳に笑い混じりの水瀬の声が飛び込んできていた。
「柏木さん、それって受けを狙ってるんですか? 遥ちゃんならまだしも、圭介君みたいな男の子にそれってないでしょう」
「そうですか? でも、水瀬さんが答えないなら、僕が代わりに答えてもいいかな?」
柏木の言葉に、水瀬はちょっと嫌そうな顔をする。だが、黙っていれば彼が言いだすことにも気がついたのだろう。仕方がない、というような表情を浮かべて、圭介の問いかけに応えていた。
「どうして、圭介君が知ってるのか分からないけど、本当だよ」
水瀬の返事に圭介は大きくため息をつくだけ。その彼の姿に興味を持ったのだろう。今度は川本が問いかけてきた。
「それはそうと、どうしてそんなことに首を突っ込むんだ? 学生は勉強するのが仕事だろう」
「そうなんですけどね。でも、今朝のニュースの人、うちの学校の先生みたいなんですよ。ネットで見ただけなんで確証はないんですけど、小太りの中年。ついでにハゲ親父。僕たちの中では思いっきり人気のない先生の外見にピッタリなんです」
「おいおい、仮にも教師に対してその言い草はないだろう。それに、だからといってその人だとは限らないだろう」
圭介の言葉に思いっきり毒が含まれているのを感じたのだろう。川本が焦ったような声を出している。それに対して、圭介は軽く肩をすくめると、思っていることを言葉にしていた。
「川本さんでしたっけ? 言いたいことは分かるんです。でも、その先生って授業を休むなんてこと考えていないような熱血で。なのに、理由もなくその人の授業が急になくなる。担任が焦りまくって教室にくる。ネットで画像が流れてる。このあたりからその先生だって思ったんですけど、間違いですか? 伊藤っていう先生なんですけどね」
「熱血教師か。そんな言葉きくのって久しぶりだな。おまけに生徒からこんなに心配されるなんて、よっぽどいい先生なんだろうね」