闇に響く籠の歌
「だから、どこでそういう話になるんだよ。川本さんでも水瀬さんでもいいです。この暴走しているバカを落ちつかせてください」
どうして、いつも彼女に振り回されてしまうのだろう。そんな思いが圭介の中に浮かんできている。だが、彼女の暴走を止めないと、今度は妄想が激しくなってくる。しかし、今の彼女を止めることはほぼ不可能。そのことに気がついている圭介はため息をつくことしかできなかった。
「ね、ねえ、遥ちゃん。今、かごめの歌に絡んだ連続殺人とかいってたよね? で、そのかごめの歌ってわらべ歌のあれ?」
「そうよ。水瀬さん、知らないの? あ、柏木さんなら分かりますよね」
遥の権幕におされたようになっている水瀬。その彼の姿をちらりとみた遥は柏木に話をふっている。その柏木はクスリと笑いながら、カウンターにメモとペンを用意していた。
「分かるよ、遥ちゃん。結構、有名な話だものね」
「そんなの、聞いたことないぞ」
ブスっとした調子で川本が応えている。それに対して柏木は肩をすくめると「かごめってどんな字を書くか知っていますか?」という問いかけをぶつけていた。
「かごめか? 簡単だ。こうだろうが」
そう言いながら川本は柏木が用意したメモに『籠目』と書き記している。しかし、それを見た柏木はゆっくりと首を横に振るだけ。その姿に川本は不審感丸出しの表情をみせていた。
「おいおい、かごめっていえばこれだろうが。他にも書き方があるっていうのか?」
「ありますよ。それにこの『籠目』だと、先の意味が通じないじゃないですか」
柏木のその声に、圭介はこんなことがあったな、というような思いを抱いている。今日、学校で遥や茜に同じようなことを言われた記憶が残っているからだ。そして、柏木はその時の二人と同じ文字をサラサラとメモに書いている。
「いろいろと説はありますが、今の話題ではこの『籠女』が主流です。意味、わかりますか?」
「女が籠? どういうことだ?」
「見たままですよ。女が腹に籠をつけているようにみえる。つまり、腹が大きい。これが何を意味するかわかりますか?」
「腹のでかい女? ただのデブか餓鬼のできてる女だろう」
「親父さん、その言い方はセクハラだと訴えられますよ」
どうして、いつも彼女に振り回されてしまうのだろう。そんな思いが圭介の中に浮かんできている。だが、彼女の暴走を止めないと、今度は妄想が激しくなってくる。しかし、今の彼女を止めることはほぼ不可能。そのことに気がついている圭介はため息をつくことしかできなかった。
「ね、ねえ、遥ちゃん。今、かごめの歌に絡んだ連続殺人とかいってたよね? で、そのかごめの歌ってわらべ歌のあれ?」
「そうよ。水瀬さん、知らないの? あ、柏木さんなら分かりますよね」
遥の権幕におされたようになっている水瀬。その彼の姿をちらりとみた遥は柏木に話をふっている。その柏木はクスリと笑いながら、カウンターにメモとペンを用意していた。
「分かるよ、遥ちゃん。結構、有名な話だものね」
「そんなの、聞いたことないぞ」
ブスっとした調子で川本が応えている。それに対して柏木は肩をすくめると「かごめってどんな字を書くか知っていますか?」という問いかけをぶつけていた。
「かごめか? 簡単だ。こうだろうが」
そう言いながら川本は柏木が用意したメモに『籠目』と書き記している。しかし、それを見た柏木はゆっくりと首を横に振るだけ。その姿に川本は不審感丸出しの表情をみせていた。
「おいおい、かごめっていえばこれだろうが。他にも書き方があるっていうのか?」
「ありますよ。それにこの『籠目』だと、先の意味が通じないじゃないですか」
柏木のその声に、圭介はこんなことがあったな、というような思いを抱いている。今日、学校で遥や茜に同じようなことを言われた記憶が残っているからだ。そして、柏木はその時の二人と同じ文字をサラサラとメモに書いている。
「いろいろと説はありますが、今の話題ではこの『籠女』が主流です。意味、わかりますか?」
「女が籠? どういうことだ?」
「見たままですよ。女が腹に籠をつけているようにみえる。つまり、腹が大きい。これが何を意味するかわかりますか?」
「腹のでかい女? ただのデブか餓鬼のできてる女だろう」
「親父さん、その言い方はセクハラだと訴えられますよ」