闇に響く籠の歌
「本当に君たちって仲がいいよね。この歌のモデルになったのもそんな感じのカップルだろうね。赤ちゃんが産まれてくるのを楽しみにしているっていう雰囲気があるから」
ニッコリと笑って告げられる言葉には強烈なカウンター要素もあったのだろう。二人は思わず顔を赤くして黙りこくっている。そんな圭介たちを見ていた水瀬がクスクスと笑いだしている。
「柏木さん、ずい分と大胆なこと言うんですね。二人とも完全に固まっちゃってますよ」
「そうですか? それより、話を続けた方がいいですよね。圭介君たちはまだしも、川本さんや水瀬さんはまだ仕事があるんだろうし」
「たしかにね。あんまり油を売ってると、神経質な署長に怒られてしまう」
そう言ってはいても、水瀬の態度はどこか他人事のよう。それを敏感に察したのだろう。柏木はため息をつきながらも話を続けることを決めているようだった。
「じゃあ、水瀬さんたちが怒られないように話を進めますね。夜明けの晩っていうのは分かりますか?」
「分かるような、分からないような? なんとなくだけど、夜と朝が一緒になっているような雰囲気だと思うね。夜明け前なのかな? 丑三つ時は夜中の二時頃だけど、それよりも後?」
疑問形ではあるが、水瀬の中では確信でもあるのだろう。そんなことを感じさせる口調。それに対して、柏木は頷きながら話し続けている。
「ですね。そんな感じです。夜が明けきらぬ晩。つまり、午前3時くらいの朝と夜の間ですね。ま、夜よりだと思ってくれれば間違いないですけど」
そこまで話した柏木は喉が渇いたと思ったのだろう。コクリとコーヒーを飲み干している。そして、カップを元に戻しながら、ゆっくりと話の続きに戻ろうとしていた。
「残りはもうちょっとですよね」
「だな。『鶴と亀が滑った』と『後ろの正面 誰だ』だな。しかし、どう考えても言葉遊びにしか思えないんだがな」
川本が心底呆れたというような声を出している。ここまで柏木の話を大人しく聞いていた彼だが、なかなか信じることができないのだろう。そんな彼に柏木は仕方がないでしょう、というような表情を向けるだけ。
「勘違いしないでください。僕は川本さんを納得させるために話しているんじゃないんですから。ただ、ネットでこういう噂があるってことをお知らせしているだけですよ」
ニッコリと笑って告げられる言葉には強烈なカウンター要素もあったのだろう。二人は思わず顔を赤くして黙りこくっている。そんな圭介たちを見ていた水瀬がクスクスと笑いだしている。
「柏木さん、ずい分と大胆なこと言うんですね。二人とも完全に固まっちゃってますよ」
「そうですか? それより、話を続けた方がいいですよね。圭介君たちはまだしも、川本さんや水瀬さんはまだ仕事があるんだろうし」
「たしかにね。あんまり油を売ってると、神経質な署長に怒られてしまう」
そう言ってはいても、水瀬の態度はどこか他人事のよう。それを敏感に察したのだろう。柏木はため息をつきながらも話を続けることを決めているようだった。
「じゃあ、水瀬さんたちが怒られないように話を進めますね。夜明けの晩っていうのは分かりますか?」
「分かるような、分からないような? なんとなくだけど、夜と朝が一緒になっているような雰囲気だと思うね。夜明け前なのかな? 丑三つ時は夜中の二時頃だけど、それよりも後?」
疑問形ではあるが、水瀬の中では確信でもあるのだろう。そんなことを感じさせる口調。それに対して、柏木は頷きながら話し続けている。
「ですね。そんな感じです。夜が明けきらぬ晩。つまり、午前3時くらいの朝と夜の間ですね。ま、夜よりだと思ってくれれば間違いないですけど」
そこまで話した柏木は喉が渇いたと思ったのだろう。コクリとコーヒーを飲み干している。そして、カップを元に戻しながら、ゆっくりと話の続きに戻ろうとしていた。
「残りはもうちょっとですよね」
「だな。『鶴と亀が滑った』と『後ろの正面 誰だ』だな。しかし、どう考えても言葉遊びにしか思えないんだがな」
川本が心底呆れたというような声を出している。ここまで柏木の話を大人しく聞いていた彼だが、なかなか信じることができないのだろう。そんな彼に柏木は仕方がないでしょう、というような表情を向けるだけ。
「勘違いしないでください。僕は川本さんを納得させるために話しているんじゃないんですから。ただ、ネットでこういう噂があるってことをお知らせしているだけですよ」