闇に響く籠の歌
そう言いながらも、柏木はどこか話したくない、というような素振りをみせている。もっとも、それに気がついていながらも水瀬は『早く』というような表情を向ける。結局、それに負けたかのように、柏木は口を開いていた。
「多分、警察はこの話を知っていると思うんですよ?」
「でも、聞かせてもらわないと分からないよ? それに知っていたとしても、僕たちの視点と噂になっていることの視点は違う。だから、教えて欲しいな」
水瀬の再度の要求に柏木はついに根負けしたようになっている。そして、今までの口調が嘘のようにポツリポツリと言葉を選ぶようにして彼は話し始めていた。
「2か月ほど前の13日の夜です。ある女性が階段から転げ落ちた。目撃者はなかったんですが、争った形跡もないし、事故だろうということで処理されました」
「それって事故なんですよね? どうして、それとさっきのかごめとが結びついたんですか?」
柏木の話に矛盾点しか覚えないのだろう。圭介がそう声を出す。それに対して、柏木はため息をつきながら応えていた。
「うん。その人は深夜の3時に泥酔状態で階段を歩いていた。女性が一人で歩くには不自然な時間だということで、誰か連れがいたんじゃないかっていう噂になっているわけです」
「そうなんだ」
「ええ。そして、その事故があってから3のつく日にはかごめの歌が聞こえるようになったという噂が出るようになったんです。その上、翌日の朝には変死体がみつかっている。そのせいで、ネットではかごめの歌とこの事故を結び付けた噂が炎上しているわけです」
「なるほどね。で、その大元というか、階段から落ちた女の名前とかは分かっているのか?」
それまで何の興味もないようにタバコをふかしていた川本。その彼が、柏木の言葉に反応している。その姿に水瀬は顔を強張らせていた。
そんな二人の様子の変化は誰がみてもはっきりと分かる。それでも、柏木は気にする様子もなく、問いかけられたことに淡々と応えていた。
「別にそこまでは噂になっていませんよ。A子とかB子っていうのが大半です。あ、一件だけ、『みゆき』ってはっきりと名指ししているのもありましたね」
その言葉に今度こそ水瀬の顔色がはっきりと悪くなる。それに対して、川本が遠慮のないともいえる問いかけをぶつけていた。
「多分、警察はこの話を知っていると思うんですよ?」
「でも、聞かせてもらわないと分からないよ? それに知っていたとしても、僕たちの視点と噂になっていることの視点は違う。だから、教えて欲しいな」
水瀬の再度の要求に柏木はついに根負けしたようになっている。そして、今までの口調が嘘のようにポツリポツリと言葉を選ぶようにして彼は話し始めていた。
「2か月ほど前の13日の夜です。ある女性が階段から転げ落ちた。目撃者はなかったんですが、争った形跡もないし、事故だろうということで処理されました」
「それって事故なんですよね? どうして、それとさっきのかごめとが結びついたんですか?」
柏木の話に矛盾点しか覚えないのだろう。圭介がそう声を出す。それに対して、柏木はため息をつきながら応えていた。
「うん。その人は深夜の3時に泥酔状態で階段を歩いていた。女性が一人で歩くには不自然な時間だということで、誰か連れがいたんじゃないかっていう噂になっているわけです」
「そうなんだ」
「ええ。そして、その事故があってから3のつく日にはかごめの歌が聞こえるようになったという噂が出るようになったんです。その上、翌日の朝には変死体がみつかっている。そのせいで、ネットではかごめの歌とこの事故を結び付けた噂が炎上しているわけです」
「なるほどね。で、その大元というか、階段から落ちた女の名前とかは分かっているのか?」
それまで何の興味もないようにタバコをふかしていた川本。その彼が、柏木の言葉に反応している。その姿に水瀬は顔を強張らせていた。
そんな二人の様子の変化は誰がみてもはっきりと分かる。それでも、柏木は気にする様子もなく、問いかけられたことに淡々と応えていた。
「別にそこまでは噂になっていませんよ。A子とかB子っていうのが大半です。あ、一件だけ、『みゆき』ってはっきりと名指ししているのもありましたね」
その言葉に今度こそ水瀬の顔色がはっきりと悪くなる。それに対して、川本が遠慮のないともいえる問いかけをぶつけていた。