闇に響く籠の歌
幕間
『話してもいい?』


『いいわよ。どうかしたの?』


『うん……ちょっと、怖いことがあるの』


『怖いこと?』


『そう。知ってる人が何人も死んでいくの』


『それって、超コワイ。ね、詳しく教えてよ』


『詳しくって……ただ、この前一緒に飲んだ人が次々に死んでいくのよ』


『うそ~、そんなことあるなんて信じられない』


『信じてくれなくてもいいわよ。しょせん、他人事だものね』


『そんな風に思ってないわよ。ビックリしたからよ』


『本当?』


『本当。で、飲みに行った人が次々に? それって今はやりのかごめが聞こえるってヤツ?』


『違うと思うな。うん、そりゃ、3のつく日だけど……』


『それってヤバいよ。きっと、あの話のせいだって。何か心当たりないの?』


『心当たり?』


『うん。だって、あの歌って奥さんを殺された旦那さんの復讐だっていう人いるよ』


『復讐……』


『そうそう。前にここで話した人がそんなこと言ってたよね』


『復讐って……あれは事故よ。どうして、そんなこと言うのよ』


『え? ひょっとして、前にあった妊婦さんの転落事故の関係者?』


『ち、違うわよ。ちょっと、そんなこと思っただけ』


『本当かな? だって、さっきからあなたの反応っておかしいもん』


『そんなこと言わないでよ。もう帰る』


『どうしてよ。もっと、さっきの話教えてよ』


『人を殺人犯みたいに思ってる人と話すことなんてないわ。じゃあね』



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