闇に響く籠の歌
彼女の声の調子に、止めるのは不可能と悟ったのだろう。圭介は机に突っ伏したまま動こうとはしない。一方、彼女の隣にいた茜は遥と同じように期待に満ちた目を奥寺に向けている。
女子二人からそんな視線を向けられたことが嬉しいのだろう。奥寺はちょっと頬を赤くしながら、ゆっくりと口を開いていた。
「実はさ、俺には姉ちゃんがいるんだよな」
「そうなんだ。で、その人がどうかしたの?」
「うん。姉ちゃん、実は派遣の社員なんだよな。で、その派遣仲間で様子のおかしいのが一人いるっていうんだ」
「ほ〜。でも、それが関係あるのか?」
反応するものかと思っていたはずなのに、奥寺の声に圭介は返事をしている。そんな彼に奥寺はどこか嬉しそうな声で応えていた。
「関係あるんじゃない? その人、3のつく日には調子が悪くなるって姉ちゃん言ってたし。っていうか、篠塚はこの件に興味なかったんじゃないの?」
「好きに言ってろ。なんか、気になったんじゃないか」
無関心を貫くはずだったのに、話の中に巻き込まれている。そう思った圭介の口調はどこか刺々しい。しかし、その場にいた誰もがそのことを気にする様子もない。
遥と茜はニヤニヤと笑っている。奥寺にいたっては『当然だろう』というような顔で話し続ける。友人たちのこの反応に、圭介は理不尽なものを感じることしかできなかった。
もっとも、そんな彼の態度の変化が遥にとってなによりも嬉しいものなのは間違いない。それでも、わざとつっけんどんな調子で彼女は圭介に声をかける。
「なんだ。やっぱり、圭介も興味が出てきたんじゃない。だったら、ここは素直にならなきゃ」
「だから、どうしてそうなる」
「篠塚君、今さら否定しても無駄。なんだかんだいっても、あなたがこの件に興味があるのは間違いないことだわ」
「安藤までそんなこと言うな。俺はこの件にこれ以上、首を突っ込みたくないんだ」
半ば悲鳴のような声が圭介の口から漏れている。そんな彼に対して優位を感じたのだろう。遥が自信たっぷりな様子で話しかけてくる。
「そういえば、圭介ってオカルト系が苦手だったわよね。そうなんだ。そりゃ、いくら話を振っても乗ってこないはずよね。忘れてたわ」
「篠塚ってオカルト系苦手だったんだ。いや〜、意外。お前って怖いものなしだと思ってた」
女子二人からそんな視線を向けられたことが嬉しいのだろう。奥寺はちょっと頬を赤くしながら、ゆっくりと口を開いていた。
「実はさ、俺には姉ちゃんがいるんだよな」
「そうなんだ。で、その人がどうかしたの?」
「うん。姉ちゃん、実は派遣の社員なんだよな。で、その派遣仲間で様子のおかしいのが一人いるっていうんだ」
「ほ〜。でも、それが関係あるのか?」
反応するものかと思っていたはずなのに、奥寺の声に圭介は返事をしている。そんな彼に奥寺はどこか嬉しそうな声で応えていた。
「関係あるんじゃない? その人、3のつく日には調子が悪くなるって姉ちゃん言ってたし。っていうか、篠塚はこの件に興味なかったんじゃないの?」
「好きに言ってろ。なんか、気になったんじゃないか」
無関心を貫くはずだったのに、話の中に巻き込まれている。そう思った圭介の口調はどこか刺々しい。しかし、その場にいた誰もがそのことを気にする様子もない。
遥と茜はニヤニヤと笑っている。奥寺にいたっては『当然だろう』というような顔で話し続ける。友人たちのこの反応に、圭介は理不尽なものを感じることしかできなかった。
もっとも、そんな彼の態度の変化が遥にとってなによりも嬉しいものなのは間違いない。それでも、わざとつっけんどんな調子で彼女は圭介に声をかける。
「なんだ。やっぱり、圭介も興味が出てきたんじゃない。だったら、ここは素直にならなきゃ」
「だから、どうしてそうなる」
「篠塚君、今さら否定しても無駄。なんだかんだいっても、あなたがこの件に興味があるのは間違いないことだわ」
「安藤までそんなこと言うな。俺はこの件にこれ以上、首を突っ込みたくないんだ」
半ば悲鳴のような声が圭介の口から漏れている。そんな彼に対して優位を感じたのだろう。遥が自信たっぷりな様子で話しかけてくる。
「そういえば、圭介ってオカルト系が苦手だったわよね。そうなんだ。そりゃ、いくら話を振っても乗ってこないはずよね。忘れてたわ」
「篠塚ってオカルト系苦手だったんだ。いや〜、意外。お前って怖いものなしだと思ってた」