闇に響く籠の歌
圭介の全身から発せられるオーラは『不機嫌です』としか表現できない。そのまま机に突っ伏してしまった彼に、遥は思いっきり不満気な声を上げている。
「圭介の意地悪。そんなに騒いでないわよ。ちょっと、今のトレンドを圭介に教えてあげたんじゃない」
「俺はお前の趣味につきあう気はない。ついでに先生くるまで寝かせろ。マジで眠いんだから」
机に突っ伏しているせいか、圭介の声はどこかくぐもったものになっている。それに対して、頬を膨らませることで抗議の色をみせる遥。
しかし、相手がそれを見ていないのでは話にならない。結局、何もできない状態になった彼女はカバンを机に放り投げていた。
「分かったわよ。じゃあ、後でつきあってよね」
「お前、今の話の流れでそういうわけ? ホント、懲りないヤツだね」
「圭介、寝るんじゃなかったの?」
「お前の馬鹿さ加減で目が覚めた。どうしてくれるんだ」
その声に遥はキャッキャッと喜んで手を叩いている。彼女のそんな様子にすっかり呆れかえっている圭介。いつものことじゃないかと圭介に同情の目を向ける奥寺。
そんな中、バタバタと担任教師である森田が入ってくる。その勢いで簡単にSHRをすませた彼は、急いで教室から立ち去っていた。
「おい、何かあったのかな?」
「どうだろう? 別に何もないんじゃないか?」
「でもさ、篠塚。森田が速攻で出て行ったんだぞ。何かあると思った方がよくないか?」
「そんなことないだろう。時間がなかったから慌ててたんじゃない?」
そう言いながら、圭介は腕時計の針を奥寺に見せている。
そこに示されているのは、まもなく一時限目が始まろうとする時刻。それを目にした奥寺は、大きく息をつくことしかできなかった。
「篠塚の言いたいこと、分かるわ。しかし、朝から伊藤の授業ってキツイよな〜」
「仕方ないだろう。そういう時間割なんだから」
ぼやく奥寺に、圭介はサラリと切り返す。だが、授業開始のチャイムが鳴ったにも関わらず、担当教師が姿をみせない。そのせいだろう。教室の中には、ざわついた空気が広がっていた。
「伊藤、どうしたのかな?」
「不思議だよな。あの先生、授業開始のチャイムを待ち構えているようなヤツだし」
「だよね。あれって、廊下で待ち伏せしてるんだって。なにしろ、鳴った瞬間だぞ」
「圭介の意地悪。そんなに騒いでないわよ。ちょっと、今のトレンドを圭介に教えてあげたんじゃない」
「俺はお前の趣味につきあう気はない。ついでに先生くるまで寝かせろ。マジで眠いんだから」
机に突っ伏しているせいか、圭介の声はどこかくぐもったものになっている。それに対して、頬を膨らませることで抗議の色をみせる遥。
しかし、相手がそれを見ていないのでは話にならない。結局、何もできない状態になった彼女はカバンを机に放り投げていた。
「分かったわよ。じゃあ、後でつきあってよね」
「お前、今の話の流れでそういうわけ? ホント、懲りないヤツだね」
「圭介、寝るんじゃなかったの?」
「お前の馬鹿さ加減で目が覚めた。どうしてくれるんだ」
その声に遥はキャッキャッと喜んで手を叩いている。彼女のそんな様子にすっかり呆れかえっている圭介。いつものことじゃないかと圭介に同情の目を向ける奥寺。
そんな中、バタバタと担任教師である森田が入ってくる。その勢いで簡単にSHRをすませた彼は、急いで教室から立ち去っていた。
「おい、何かあったのかな?」
「どうだろう? 別に何もないんじゃないか?」
「でもさ、篠塚。森田が速攻で出て行ったんだぞ。何かあると思った方がよくないか?」
「そんなことないだろう。時間がなかったから慌ててたんじゃない?」
そう言いながら、圭介は腕時計の針を奥寺に見せている。
そこに示されているのは、まもなく一時限目が始まろうとする時刻。それを目にした奥寺は、大きく息をつくことしかできなかった。
「篠塚の言いたいこと、分かるわ。しかし、朝から伊藤の授業ってキツイよな〜」
「仕方ないだろう。そういう時間割なんだから」
ぼやく奥寺に、圭介はサラリと切り返す。だが、授業開始のチャイムが鳴ったにも関わらず、担当教師が姿をみせない。そのせいだろう。教室の中には、ざわついた空気が広がっていた。
「伊藤、どうしたのかな?」
「不思議だよな。あの先生、授業開始のチャイムを待ち構えているようなヤツだし」
「だよね。あれって、廊下で待ち伏せしてるんだって。なにしろ、鳴った瞬間だぞ」