闇に響く籠の歌
「川本さんには敵いませんね。僕の店があのとおり閑古鳥がないているのはご存知でしょう? 今日は天気もいいし、ちょっと気晴らしに散歩でもしようと思ったんです。で、遥ちゃんたちをみかけたから声をかけたんです。それも悪いんですか?」
柏木の言葉は理路整然としている。そのことに気がついた川本はバツの悪そうな顔をすると吸っていたタバコを足で踏み消している。その姿にどこか非難するような視線をむける水瀬。それに気がついた川本はブスっとした顔で文句を言うことしかできなかった。
「水瀬、何か言いたいことがあるのか?」
「別に。親父さんに何かを言っても、聞いてもらえるとは思ってませんから」
「そうかい、わかったよ。それはそうと、お前らはこの先のアパートに行くつもりだって?」
水瀬の言葉を無視するように圭介に問いかける川本。その姿に苦笑を浮かべる圭介だが、ここで無視するとまた噛みつかれる。そう思っているのだろう。彼はゆっくりと頷くと問いかけに応えている。
「あ、はい。ちょっと会いたい人がいるんですよね」
もっとも、ここで詳しい話をするつもりはない。というより、話をすればややこしくなるのが目に見えている。だからこそ、遥にも余計なことを言うな、というように睨みつけている。
さすがの遥も圭介のその迫力は感じ取ったのだろう。この場は大人しくしていた方が安全だと思っている。そんな彼女の様子に安堵の息をついた圭介はゆっくりと話を続けていた。
「別に話す必要は感じないんですが、念のために言っておきます。僕たち、そこのアパートにいる斎藤 綾乃さんって人に会いにきたんです」
これでこの場から解放される。そんな思いが圭介にはある。だからこそ、遥たちを促すようにしてその場を離れようとする。だが、そんな彼の腕を川本がガッチリと掴んでいた。
その力が半端なく強いのか、圭介が半分涙目になっている。この人、結構な年のはずなのに、これは反則だ。そう言いたげな色が彼の顔には浮かんでいる。もっとも、そんなことを川本が気にするはずもない。彼は圭介の言葉に思いっきり食いついていた。
「おい、今なんて言った!?」
柏木の言葉は理路整然としている。そのことに気がついた川本はバツの悪そうな顔をすると吸っていたタバコを足で踏み消している。その姿にどこか非難するような視線をむける水瀬。それに気がついた川本はブスっとした顔で文句を言うことしかできなかった。
「水瀬、何か言いたいことがあるのか?」
「別に。親父さんに何かを言っても、聞いてもらえるとは思ってませんから」
「そうかい、わかったよ。それはそうと、お前らはこの先のアパートに行くつもりだって?」
水瀬の言葉を無視するように圭介に問いかける川本。その姿に苦笑を浮かべる圭介だが、ここで無視するとまた噛みつかれる。そう思っているのだろう。彼はゆっくりと頷くと問いかけに応えている。
「あ、はい。ちょっと会いたい人がいるんですよね」
もっとも、ここで詳しい話をするつもりはない。というより、話をすればややこしくなるのが目に見えている。だからこそ、遥にも余計なことを言うな、というように睨みつけている。
さすがの遥も圭介のその迫力は感じ取ったのだろう。この場は大人しくしていた方が安全だと思っている。そんな彼女の様子に安堵の息をついた圭介はゆっくりと話を続けていた。
「別に話す必要は感じないんですが、念のために言っておきます。僕たち、そこのアパートにいる斎藤 綾乃さんって人に会いにきたんです」
これでこの場から解放される。そんな思いが圭介にはある。だからこそ、遥たちを促すようにしてその場を離れようとする。だが、そんな彼の腕を川本がガッチリと掴んでいた。
その力が半端なく強いのか、圭介が半分涙目になっている。この人、結構な年のはずなのに、これは反則だ。そう言いたげな色が彼の顔には浮かんでいる。もっとも、そんなことを川本が気にするはずもない。彼は圭介の言葉に思いっきり食いついていた。
「おい、今なんて言った!?」