闇に響く籠の歌
茜の言葉は完全に意表をついている。そのためだろう。奥寺はキョトンとした表情で応えることしかできない。それに対して、話を始めた方はコクリと頷くだけ。
その様子を見ていた遥は『早く話そうよ』と軽いノリで煽ってくる。もっとも茜自身も話したいという欲求が強いのだろう。遥の声に頷くようにして話を始めていた。
「そう、それ。で、あれってただのわらべ歌じゃないのよね。ちゃんと意味がある」
「そうか? どう考えても言葉遊びじゃないのか?」
茜の言葉に不満気な調子で圭介が口をはさむ。それに対して、チッチと指を振りながら遥が応戦していた。
「圭介、ちゃんと私の話きいてた? たしかにあれはわらべ歌だけど、絶対に意味があるんだって。結論から言っちゃうと、あれって復讐の歌だっていう説もあるんだから」
遥が口にした『復讐』という言葉はあまりにも唐突。そのためか、奥寺と圭介は互いに顔を見合わせることしかできない。そんな彼らに女二人は呆れたような声をかけていた。
「信じられないの? でも、そうなんだから。まずは冒頭の『かごめ』。いろいろな説があるけど、これは『籠女』と書くと考えられるわけ」
「そっちか? 普通は『籠目』の方じゃないのか?」
ノートの端にサラサラと単語を記しながら話す茜に対して、圭介が反論する。その言葉を今度は遥がぶった切る勢いで遮っていた。
「どうしてそうなるのよ。もし、圭介のいう方の『籠目』だったら、その先の意味が通じないじゃない。『鶴と亀が滑った』のよ。これって、めでたいことがダメになったっていう意味だととれるじゃない」
「たしかにそうかも……」
思わず奥寺が納得したような声をあげている。それに力を得たのか、ここぞとばかりに遥が自説を展開する。
「でしょう? だから、『籠女』なわけ。妊娠してお腹が大きくなった女の人。その人が滑ってしまった。そうなったらどうなる? それくらい、圭介なら分かるでしょう」
「なんとなくはね。妊婦が滑ってしまったら流産っていう可能性あるよな」
「あたり。もっとも、まだ話はあるのよね」
「だから、勿体ぶらずにさっさと話せ。俺は眠いのを付き合ってやってるんだぞ。そのあたりのこと、理解しているのか?」
「わかってるわよ。じゃあ、後は手早く説明するわよ!」
その様子を見ていた遥は『早く話そうよ』と軽いノリで煽ってくる。もっとも茜自身も話したいという欲求が強いのだろう。遥の声に頷くようにして話を始めていた。
「そう、それ。で、あれってただのわらべ歌じゃないのよね。ちゃんと意味がある」
「そうか? どう考えても言葉遊びじゃないのか?」
茜の言葉に不満気な調子で圭介が口をはさむ。それに対して、チッチと指を振りながら遥が応戦していた。
「圭介、ちゃんと私の話きいてた? たしかにあれはわらべ歌だけど、絶対に意味があるんだって。結論から言っちゃうと、あれって復讐の歌だっていう説もあるんだから」
遥が口にした『復讐』という言葉はあまりにも唐突。そのためか、奥寺と圭介は互いに顔を見合わせることしかできない。そんな彼らに女二人は呆れたような声をかけていた。
「信じられないの? でも、そうなんだから。まずは冒頭の『かごめ』。いろいろな説があるけど、これは『籠女』と書くと考えられるわけ」
「そっちか? 普通は『籠目』の方じゃないのか?」
ノートの端にサラサラと単語を記しながら話す茜に対して、圭介が反論する。その言葉を今度は遥がぶった切る勢いで遮っていた。
「どうしてそうなるのよ。もし、圭介のいう方の『籠目』だったら、その先の意味が通じないじゃない。『鶴と亀が滑った』のよ。これって、めでたいことがダメになったっていう意味だととれるじゃない」
「たしかにそうかも……」
思わず奥寺が納得したような声をあげている。それに力を得たのか、ここぞとばかりに遥が自説を展開する。
「でしょう? だから、『籠女』なわけ。妊娠してお腹が大きくなった女の人。その人が滑ってしまった。そうなったらどうなる? それくらい、圭介なら分かるでしょう」
「なんとなくはね。妊婦が滑ってしまったら流産っていう可能性あるよな」
「あたり。もっとも、まだ話はあるのよね」
「だから、勿体ぶらずにさっさと話せ。俺は眠いのを付き合ってやってるんだぞ。そのあたりのこと、理解しているのか?」
「わかってるわよ。じゃあ、後は手早く説明するわよ!」