闇に響く籠の歌
圭介の声に、遥は涙目でそう叫んでいる。だが、女の武器ともいえる泣き落としに圭介が引っ掛かる気配もない。
このあたりは幼なじみとして何年も一緒だったということが大きいのだろう。実際、この場にいて遥のその仕草に落とされた人間がいるのも間違いない。
だが、それが圭介にだけは効果がない。彼はこれ見よがしにため息をつくと、頬杖をつきながら遥の言葉の続きを待っていた。
「で、遥。話はそこまで? それくらいなら、俺も知ってるんだよな〜」
「分かってるわよ。じゃあ、もう一つ訊くけど、丑三つ時って知ってる?」
「やめろって。怨霊が動き出す時じゃないか。丑の刻参りはこの時にするのが正式だって聞いたことがあるぞ」
遥の言葉に、心底嫌そうな表情を浮かべている圭介。だが、そんな彼の姿に負けるような遥ではない。彼女は逃げ出そうとする圭介の首根っこをしっかりと掴まえると。ニヤリと口角を上げて囁いている。
「知ってるんじゃない。じゃあ、その丑三つ時でもある夜中の三時。そして、三のつく日に人が死んでるってことも知ってる?」
遥のその声に圭介と奥寺はポカンとすることしかできない。お互いに顔を見合わせた男二人は、おそるおそるといった表情で遥の言葉に反論を始めていた。
「遥、それって関係ないんじゃないのか?」
「そうだよ。夜中の三時に人が死んだって確かめられないだろう。それに三のつく日っていうのも偶然じゃないのか? 俺ならそう思うな」
奥寺のその声に圭介も大きく頷いている。
「そうだよ、遥。奥寺が言ってることの方が納得いく。大体、夜中の三時にどうやって確かめるっていうんだ。ついでに人って毎日のように死んでるんだぞ。わざわざ、三のつく日って限定する意味がわからん」
「圭介ってロマンがないのね〜」
「おい、これのどこがロマンなんだ。ただのオカルト趣味の野次馬根性だろうが」
頬を膨らませて抗議する遥に対して、圭介は呆れたような声で応えている。そんな彼に茜がポツリと呟いていた。
「篠塚君の言いたいことも分かるのよ。でもね、今月の3日と13日に原因不明で死んでいる人がいるのも事実よ。これは認めないと」
「安藤、お前も遥と同類だったんだな。で、それがどうしたって?」
このあたりは幼なじみとして何年も一緒だったということが大きいのだろう。実際、この場にいて遥のその仕草に落とされた人間がいるのも間違いない。
だが、それが圭介にだけは効果がない。彼はこれ見よがしにため息をつくと、頬杖をつきながら遥の言葉の続きを待っていた。
「で、遥。話はそこまで? それくらいなら、俺も知ってるんだよな〜」
「分かってるわよ。じゃあ、もう一つ訊くけど、丑三つ時って知ってる?」
「やめろって。怨霊が動き出す時じゃないか。丑の刻参りはこの時にするのが正式だって聞いたことがあるぞ」
遥の言葉に、心底嫌そうな表情を浮かべている圭介。だが、そんな彼の姿に負けるような遥ではない。彼女は逃げ出そうとする圭介の首根っこをしっかりと掴まえると。ニヤリと口角を上げて囁いている。
「知ってるんじゃない。じゃあ、その丑三つ時でもある夜中の三時。そして、三のつく日に人が死んでるってことも知ってる?」
遥のその声に圭介と奥寺はポカンとすることしかできない。お互いに顔を見合わせた男二人は、おそるおそるといった表情で遥の言葉に反論を始めていた。
「遥、それって関係ないんじゃないのか?」
「そうだよ。夜中の三時に人が死んだって確かめられないだろう。それに三のつく日っていうのも偶然じゃないのか? 俺ならそう思うな」
奥寺のその声に圭介も大きく頷いている。
「そうだよ、遥。奥寺が言ってることの方が納得いく。大体、夜中の三時にどうやって確かめるっていうんだ。ついでに人って毎日のように死んでるんだぞ。わざわざ、三のつく日って限定する意味がわからん」
「圭介ってロマンがないのね〜」
「おい、これのどこがロマンなんだ。ただのオカルト趣味の野次馬根性だろうが」
頬を膨らませて抗議する遥に対して、圭介は呆れたような声で応えている。そんな彼に茜がポツリと呟いていた。
「篠塚君の言いたいことも分かるのよ。でもね、今月の3日と13日に原因不明で死んでいる人がいるのも事実よ。これは認めないと」
「安藤、お前も遥と同類だったんだな。で、それがどうしたって?」