ヤクザは嫌い、です。
「ねえ、なんなの?」
そう言って体を起こし、朱莉は不思議そうな顔で
俺をじぃっと見つめる。
うっ…
…俺、やっぱなんだかんだで朱莉に弱いわ…
はぁ…
「いや…前に朱莉が近所の犬を可愛がってたのを見て…。
それに俺と帰ってるときも、犬とか猫とかが居るとそっちばっかり見てるだろ。
だからもしかして、と思ってさ。」
「え、あれ見てたの?」
朱莉が目を丸くして言うあれ、とは…犬を可愛がってたことか?
…まぁあれは…
犬がいる場所が、帰りに俺と朱莉が合流する場所とは少し離れた場所だから…
不審がるっつーか「何で見てるの。」と怒られてもおかしくは無いけど…
と俺が少し心配しているのをよそに
「まあ別に見られても何ともないけど。事実だし。…それにしても、優斗ってよく見てるんだね。」
呑気そうにそう言ってまた布団へ寝転がる朱莉。