ヤクザは嫌い、です。
「そうか?」
と思ったけど…冷静に考えみると
た、確かに朱莉のことをついつい目で追っている気が…
え?!いや、ほら…これはあれだ…
組長に朱莉のことを頼まれているからで…何かあったら駄目だしさ…うん。
誰に何を言われたわけでもないのに
必死で自分に言い訳をする俺。
でも、そうじゃないことは俺が1番分かってる。
もしかして、朱莉がいくらニブいと言っても
これだけ分かりやすい反応をしてしまっていたら
気付かれるのは時間の問題かもしれない。
どうせ朱莉は俺の事嫌いだと思うけど…それならいっそのこと言ってしまった方が…
「…あのさ、朱莉。…俺…」
意を決して俺がそう言いかけたとき、
「…スー…スー」
…寝息…?
朱莉の顔を覗き込んで見てみると…
もうこれ…完全に寝てるんだけど…
…は?
しっかし可愛い寝顔だな…じゃねえわ!!
何でこんな時に限って寝てるんだよ!いや、確かに寝てろとは言ったけどさ!!
……
まぁ…いいか…
一緒に住んでて、気持ちまで伝えてしまったら
俺何してしまうか分かんねーし…そーだ、これでいいんだ…はは…
「はぁ…」
静かな部屋に俺のため息だけが響いた。