黒瀬くんの恋模様。
『…つまり好きな人を思ってついた嘘を今になって弁解したいと?』
「はい」
麗子サンは少しんー、と言ったあとに
『ねえ、今から大地とそっち行くから。どこにいるの?』
麗子サンの言葉に条件反射で場所を答える。
『んじゃ30分後に駅前で』
そう言うと切れた電話。
私は暗くなった画面をみつめる。
…やっぱり麗子サンは強いな。
早坂くんじゃなくて麗子サンにかわってもらった理由は1つ。
早坂くんじゃ話にならないと思ったから。
「え?なに?どうなったの?」
しびれを切らしたハル先輩が、私にそう聞いてきた。
「えっと、30分後に駅前です。」
えへへ、なんて誤魔化しながら言ってみる
だってこれからのことを聞かれても私にだって分からない。
たぶん早坂くんも知らない。
麗子サンしか知らないんだ。