黒瀬くんの恋模様。




『…つまり好きな人を思ってついた嘘を今になって弁解したいと?』



「はい」



麗子サンは少しんー、と言ったあとに



『ねえ、今から大地とそっち行くから。どこにいるの?』




麗子サンの言葉に条件反射で場所を答える。




『んじゃ30分後に駅前で』



そう言うと切れた電話。



私は暗くなった画面をみつめる。




…やっぱり麗子サンは強いな。



早坂くんじゃなくて麗子サンにかわってもらった理由は1つ。



早坂くんじゃ話にならないと思ったから。




「え?なに?どうなったの?」




しびれを切らしたハル先輩が、私にそう聞いてきた。




「えっと、30分後に駅前です。」



えへへ、なんて誤魔化しながら言ってみる




だってこれからのことを聞かれても私にだって分からない。




たぶん早坂くんも知らない。



麗子サンしか知らないんだ。














< 102 / 174 >

この作品をシェア

pagetop