黒瀬くんの恋模様。
「そのふみちゃんって子勘はいい方?」
「自分の気持ちには疎いんですけど、周りのことに関しては敏感です。」
麗子サンの質問に首をかしげる。
なんの関係が?
「そう、それなら誤解はしてないわよ。周りのことに敏感な子ならハル君の考えにくらい気づいたはず。」
たしかに。
ふみちゃんの勘の良さなら、ハル先輩が何かを言おうとしてることにくらい気づいたはず。
そして別れの言葉を聞いたときに、そこ言葉の裏に潜むものにも気づけたはず。
「…じゃあ、どうして?」
低いハル先輩の声。
「たぶんだけどね、あなたが自分になんの相談もなく決めたことが嫌だったんじゃないかな。あなた別れるか遠距離かを決めるときに、彼女に相談しなかったでしょ」
まさか、それがふみちゃんが言ってた裏切り?
「ふっ」
その事実にハル先輩は鼻で笑った。
「言えるわけねーだろ。言ったら文香は遠距離を選ぶに決まってた。」