黒瀬くんの恋模様。




「文香が泣くくらいなら、俺は別れた方がよかった。」



ハル先輩がそう言い終えた瞬間



バシッッ



「いってぇ…」



麗子サンがハル先輩を殴っていた。




「何すんだよ!!!」



いつもは優しいハル先輩が声を荒げる。



でも麗子サンは動じることなくハル先輩を睨み付けた。




「あんたの考えが間違ってんのよ!!!あの子はあんたと別れたせいで泣いたのよ!?傷ついたの!!!それだったら遠距離で寂しくて泣いた方がいいに決まってるでしょ!!!」




麗子サンはここまで話し終えると、ゆっくりと諭すように話し始めた




「ふみちゃんが誤解したからこうなったんじゃない。あんたがあの時ふみちゃんに相談しなかったからこうなったのよ。恋愛は一人でするもんじゃないのよ」




…恋愛は一人でするもんじゃない



その言葉に私もハル先輩も目を見開いた。




そんな当たり前のことを私たちは忘れてしまう。



当たり前で大切なことを忘れてしまう。




私は胸がぎゅっと痛くなった。



黒瀬くん…。




会いたい…。




















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