黒瀬くんの恋模様。
「…涼」
黒瀬くんのことを考えていると聞こえてきたハル先輩の力のない声
「文香に会いたい…」
消えてしまいそうな言葉に私の動きは一瞬止まった。
そしてその言葉の意味に気がつくと自分に出来る限りの早さでふみちゃんに電話をする。
『はい』
何度かのコール音の後、ふみちゃんは感情のない声でそう言った。
「今すぐ駅の近くのファミレスに来て?」
『いやよ』
低いふみちゃんの声に一瞬怯む。
きっとハル先輩がいるって気づいてるんだ
「来るまで待ってるからね」
『ちょっと!行かないからね!!!えっあ、千尋!?』
焦ったようなふみちゃんの声の後に聞こえてきたガタガタという雑音。
そして、その後に聞こえたのは…
『…涼?』
「黒瀬くん…」
愛しい人の声